フッ素って歯磨き粉にも入ってるし歯医者さんでもぬりますよね?
でも体に悪いとか危険とも聞くし…
フッ素って本当に口に入れて大丈夫なものですか?
お子さんが初めてフッ素を塗ってもらうとき、歯みがき粉をつかうときこんな疑問をもつ親御さんも
多いのではないでしょうか。
大切なお子さんの歯をまもろうとしているのに【キケン】なんて言われたら不安になりますよね。
そこで,今回はフッ素についてお伝えしたいとおもいます。
フッ素はキケン!?
フッ素をネットで調べると、キケンとか体に悪いとか出てきて不安になりますよね?
実際フッ素は単体だと、ガラスやプラスチックさえ溶かしてしまう程の強い酸化作用があり
さらに人間が摂取すると猛毒となります。
しかし、フッ素自体は非常に強い酸化作用があるため、単体で地球上に存在することはあまりなく
なんらかの元素と化合したフッ化物として存在するのが一般的です。
歯科医院でつかったり、歯磨き粉につかわれているフッ素も<フッ素>とよばれてはいますが単体のフッ素ではなく
フッ化ナトリウムなどのフッ化物を使用しています。
フッ素化合物のなかには、工業用として使用されているものもありますが、歯科で使うものとは別のものになります。
フッ化物はお茶の葉っぱ、魚介類、肉、野菜などの食品にも含まれているミネラル成分の一種で日常生活のなかでも自然に摂取している成分なんですよ。
ただ、どんな食品や薬でも取りすぎるのは体によくないですよね?
健康のために飲んでいるサプリメント、毎日の食事でとる糖分や塩分も、過剰ににとりすぎれば
結果的に体に悪いものになってしまいます。
むし歯予防というメリットもあるフッ素ですが、とりすぎると中毒症状がおこります。
フッ素の中毒症状
慢性中毒
高濃度のフッ素を長期間継続的に摂取することによりおこる中毒です。
骨フッ素症(骨硬化症)
骨の形成に影響が出てしまう病気。症状としては関節の痛みや硬直・脊髄や靭帯の石灰化などがあります。
フッ化物濃度が高い飲料水を利用している地域(インドの乾燥地帯や中国の乾燥地帯など)に多い症状で
8ppm以上高濃度のフッ化物を含む飲料水を20年以上にわたり摂取し続けると、10~15%の確率で発症する
といわれています。
ちなみに日本では水道水の水質基準が定められており、フッ素及びその化合物は0.8mg/L以下と制限されているので心配ないでしょう。
歯牙フッ素症(斑状歯)
症状としては、歯の表面のエナメル質に白い斑点がみられたり、色素の沈着がみられたりします。
歯の形成される時期(生後~7,8歳)に、2ppm以上のフッ素を含む飲料水を継続的に摂取したことが原因とされています。
急性中毒
一度に過剰な量を摂取してしまうとおこるのが急性中毒です。
症状としては、悪心・嘔吐・下痢など。
軽度の中毒症状、何かしらの不快症状(嘔吐など)が出る可能性のあるフッ素量 は体重1㎏あたり2mg
治療や入院などの処置を必要とする推定中毒量は体重1kgあたり5mgといわれています。
例えば体重15㎏の子供だと…
・中毒症状が出る可能性のある量が30mg(15㎏×2mg)
・処置が必要となる推定中毒量だと75mg(15㎏×5mg)
歯みがき粉1本分計算してみました!
フッ素濃度500ppmの歯みがき粉(内容量60g)1本のフッ素量
(500ppm⇒1gあたり0.5mg×60g)30mg
フッ素濃度1450ppmの歯みがき粉(内容量135g)1本のフッ素量
(1450ppm⇒1gあたり1.45mg×135g)195.75mg
フッ素塗布用のフッ素 濃度9000ppmのもの(9000ppm⇒1gあたり9mg×使用限度量の2g使用として)18mg
- 子供用の歯みがき粉をまるまる1本のみこんでしまった
- 大人用の高濃度フッ素配合の歯みがき粉を20g以上たべてしまった
- フッ素塗布用ジェルを2人分食べてしまった
上記のような場合中毒になるかもしれない量に達します。
…歯磨き粉1本さすがに一気に食べられないですよね。
歯科医院で使用するフッ素も、歯ブラシや綿球で歯に塗るのでそちらにのこる分もありますし、塗布後には
お口の中にたまった唾液をはきだしてもらうので、全量がお口に入っているわけではありませんしね。
このようなことからもわかるように、通常の使用ではフッ素中毒の心配はいりません。
とはいえ、多量に飲み込んでよいものではありませんので、歯みがき粉はお子さんの
手の届かない場所に保管しましょう。
高濃度フッ素配合の歯みがき粉のパッケージには
【6歳未満への使用は控え、手の届かないところに保管する】
よう記載されています。
これは
・子供が誤って食べてしまう⇒急性中毒
・歯の形成期に日常的に過剰に使用してしまう⇒斑状歯
を防ぐためなんですね!
フッ素の効果詳しく…
それでは次に、フッ素を使うメリット
むし歯予防の効果について具体的に解説します。
①再石灰化を促進する
フッ素には再石灰化を促進する効果があります。
まずは石灰化とは??ということから。
私たちが食事をしたりおやつを食べるとき、お口の中ではこんなことが起こっています。
お口の中は中性です
食べ物のそのものの酸や、お口のなかにいる細菌が食べ物を分解しようと酸をだし、お口のなかが酸性になる
口の中が酸性になることにより、歯の表面(エナメル質)からカルシウムやリンが溶けだす⇒これが脱灰
唾液により
・お口の中を酸性から中性にもどす
・溶け出したカルシウムやリンを補い歯を修復する⇒これが再石灰化
食事をするたび、お口の中では脱灰と再石灰化をくりかえしています。
フッ素には④の再石灰化のはたらきを促進する効果があります。
穴があくまえのごく初期のむしばであれば、再石灰化により修復されることもあります。
②歯の質を強化する
歯の再石灰化をするときに、フッ素は歯の表面のエナメル質の成分と結びつき(フルオロアパタイト)
という硬い構造を作りあげます。
これによって酸に溶けにくい性質になりむし歯になりにくい強い歯にしてくれます。
③むしば菌の働きをよわめる
フッ素には、むし歯菌の働きを弱め、活動を抑制する働きもあります。
ちなみに、むし歯菌が虫歯をつくるまでのながれはこんな感じです。
むしばができるまで
むし歯菌は、糖質をえさに酸をだします。
再石灰化のところにもあった脱灰です。
再石灰化されることなく脱灰がすすんでゆくと…
歯に穴が開いて、むし歯になってしまいます。
フッ素はむしば菌の活動を抑制することにより、菌の出す酸がつくられるのを抑えます。
フッ素にはこのような働きをすることで、むし歯予防の効果があります。
メリットもあればデメリットもありますが、毎日の歯みがきや検診時のフッ素塗布などで
上手にとりいれることで、むし歯予防の強い味方になってくれます。
それでもやはりフッ素は不安…
という方は、無理をしてまで使わなくても大丈夫!!
むし歯予防のためにできることはフッ素だけではありません。
はみがきやフロスによるお手入れをしっかりすることや、食生活を見直すことも立派なむし歯予防になります。
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